教育 平成１９年後半
教員免許更新制度３
免許更新制は非常に問題の多い制度です。どのような点が問題なのか、考えてみました。
１．法の不遡及の原則（註１）に違反しています。
事実１：既に教員免許を持っている人は、引き続き教員免許は死ぬまで有効でないといけません。ところが、過去に遡って、不利な期限付の免許状にしました。新しく取得した免許状から期限つきにするべきです。
事実２：既に教員免許を持ってい人は、３５歳、４５歳、５５歳のいずれかで免許を更新しなくてはいけません。
説明 既に教員免許を持っている人は、２５歳以上の免許取得者は１０年の期限すら守られないことになります。まさか、実際に取得した日に遡って、期限が１０年以上あったはずだという暴論を言うわけではありませんね。
いくらなんでも、既に教員免許を持っている人は、、法律の施行時免許を取得したと解釈するべきです。つまり、法律が施行された前日まで教員免許が今までの法律で有効であると解釈されるべきです。
すなわち、既に教員免許を持っている人については、免許更新制度の施行日から１０年間有効とすべきです。そして、法律の施行１０年後に大量の免許更新講習者が出て困るというのならば、１０年以上に延長すれば良いのではないでしょうか。
「当該者に不利益な事柄に関しては、その施行に遡って適応させることはない。「という「法の不遡及の原則」が、守られないと、法律を守っても仕方がないことになります。今合法でも将来非合法になり、今やっていることで罰せられる（不利な目に遭う）かも知れません。それでは、安心して生活することができません。法治国家では、絶対にやってはいけないことです。このような違法な法律は直ちに廃止すべきです。
２．既得権を侵害しています。
既得権が保証されないと、現在ある法律を守っていても将来不利益なことになる可能性があります。すると、法律を守っても仕方がないと考えかねません。だから、既得権は大切なのです。
教員免許など一生に関わるような免許について、後で条件を悪くされるのでは安心していられないことになります。今は、１０年の期限と言っていますが、将来もっときつい条件になるかも知れません。免許講習の時間が３０時間から６０時間になるとか、期限が５年になるとか、どうなるか分かったものではありません。しかも、免許取得者の意向は、無視して法律が変えられてしまいます。
既得権が守られなければ、安心して生活できません。少なくとも、既得権が損なわれる場合は、翌当事者と話し合って行うことが必要です。まだ、その方が民主的です。
３．本来の業務に差し支えます。
免許更新講習に３０時間かけると言うことはなかなか大変なことです。もともと、勤務時間内では、仕事が行うことができず、毎日１〜２時間のサービス残業や持ち帰り仕事をしている状況で、更に３０時間の講習を受けて、そのテストも受けるとなれば３０時間以上かかることになります。それでは、免許更新講習を受けるときには負担が更に追加することになります。学校が地域や保護者の要望を受けて、多忙化が進んでいるのに、更に多忙化を加速するようなことはよくないです。
しかも、教科書は以前に比べ、厚さは薄く内容も薄くなっています。つまり、よく内容が検討（註２）されていない教科書になっているのです。文科省は、その教科書の検討を「文科省−大学−学校」で相互に協力し合いながら行う必要があるのに、その検討の予算や研修は少なくなる一方です。この必要な研修が、ないがしろにされる中、免許更新制度だけが一人歩きしています。
４．教員免許更新制の目的
（１）文科省の言い分
教員免許更新制は、その時々で教員として必要な資質能力が保持されるよう、
定期的に最新の知識技能を身に付けることで、教員が自信と誇りを持って教壇
に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指すものです。
←（このような嘘を平気でシャーシャーと言えるなんて世も末です。鈴木政洋コメント）
教員免許更新制における更新講習について（文科省）
（２）鈴木政洋の考える文科省の目的
（ア）気に入らない教員を止めさせる口実を作ることを目的とするものです。
・免許更新にかこつけて、曖昧な形で気に入らない教員を首にできるようにするため。教員として能力が足りないのならば、雇用した教育委員会が解雇すればよいのであって、免許更新制のような手の込んだ方法で解雇するのはどうかしています。・・・・気に入らない教員には、免許更新講習を受けさせないという方法ですよ。
一時、能力の足りない教員は、地方公務員法があるから解雇できないと言うことで、別の公務員の仕事に就かせるということがありました。その、対策ですね。これは。辞めさせるための裏の方法ですね。教育委員会が解雇するという方法だと、正統な理由でない、気に入らないという理由だけでは解雇できません。しかし、今度の免許の更新をさせないという方法だと、気に入らないという理由でも可能なんですね。理由なんて、いくらでもつけられるからね。ほとんどは、公正に行われると思いますが、一部不透明ですね。
（イ）文科省が教員研修をやったふりをするための言い訳を目的とするものです。（教員研修と免許の期限とは因果関係はありません。免許を更新しなくても、文科省が研修を義務づければよいのです。文科省の主催する研修をどんどん義務づけて行えばよいのです。）
このように考えてくると、次のような隠れた目的が浮かび上がってきます。
・文科省が研修費を出さないで、教員に研修を行わせたいため。・・・免許を更新する人が３万円程度の受講料を免許更新者が負担しなくてはなりません。（既に免許を持っている人は負担軽減措置をとるかも知れないと文科省は言っていますが、どうなることか？）
・土曜日や日曜日などにも講習を受けられるようにして、勤務時間中に極力研修をさせないようにするためです。授業時間数確保とも関係がありそうな気がします。本来は、勤務時間（給与の出る残業時間）に研修をするべきです。仕事に必要な研修をするのは、勤務時間（註３）に決まっているでしょ。
（ウ）経団連や自民党の気に入らない日教組（註４）がいる教員をいじめるため。
現役の教員は教員免許のために追加の費用と時間を費やさなくてはならなくなりました。しかし、民間人は教員免許状を持っていなくても管理職になったり、教職に臨時でついたりできます。これは、一体どういうことでしょうか、経団連の眼鏡にかなった民間人は素晴らしくて、日教組に入っているような教員は駄目だということでしょうか。そのような偏見で物事を決めて良いのでしょうか。日教組を信奉している人なんて一部なのに・・・。
（エ）再独占化・・一般大学で教員免許を取れないようにしたい。
団塊の世代が学齢期のとき、急速に子供の人口が増えました。そのために、教員が大量に必要になり、教員養成大学ばかりでなく一般大学でも教員免許が取得できるようにしました。今度の教員免許法の改正で、教員免許状を取得するためには最低６年間を要するようにしました。それは、一般大学では教員免許を取りにくくするための政策としか思えません。
文科省の言う「教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指す。」の社会と言うのは経団連のことでしょうか。文科省の役人のことでしょうか。保護者が免許更新制になったからと言って教員を尊敬するのですか。信じられません。少なくとも保護者は、社会に入っいないでしょうね（皮肉ですよ！）。本気で、文科省がそのように考えているのならば、文科省は気が狂っています。
５．まとめ
教員免許など一生に関わるような免許について、後で条件を悪くされるのでは安心していられないことになります。今後、もっと劣悪な条件に変えられる可能性もあることになります。すると、有能な人材は教員を希望しないことになります。文科省や経団連が言っている教育再生ではなく。教育破壊に繋がります。もっとも、経団連は優秀な人材を教員ではなく自分の会社に入れたいと考えているので経団連ももくろみどおりと言うことでしょうか。しかし、本当は経団連のためにもなりません。このようなことを続けていけば、日本の教育レベルが下がっていくことになります。やはり、教員には優秀な人材を集め、そして育てるべきです。優秀な人材を増やさなくてはならないのです。そうすれば、２０年後、３０年後に優秀な人材で日本が溢れることになります。経団連の皆さんも短絡的な利益を求めないことが大切なのですよ。同じ意味で、人材派遣を使い捨ての人材として雇うことも同様です。使い捨てをされる人間の気持ちになってみなさいよ。
基本的に免許更新制には反対です。文科大臣渡海 紀三朗（とかい きさぶろう）氏は、他のやらなくてはいけないこと（註５）を怠けておいて、教育改革をやったふりをしたいのだけなのです。自分の在任中に成果を上げることばかりを考えずに、将来の日本に役立つ教育改革をまじめなで洞察力のある人物にやって欲しいと思います。卑怯で私利私欲に走る人にはやって欲しくないです
註１：法の不遡及（ほうのふそきゅう）とは、実行時に適法であった行為を事後に定めた罰則により遡って処罰すること、ないし、実行時よりも後に定められたより厳しい罰に処すことを禁止した、近代刑法における原則。「不遡及（ふそきゅう）」を「ふさきゅう」と呼ぶこともある。事後法の禁止（じごほうのきんし）あるいは遡及処罰の禁止（そきゅうしょばつのきんし）ともいう。 ただしこの原則は行為者の利益のためのものであるため、本人に有利になる場合はこの限りでは無い（例えば、行為後に法定刑が軽減された場合、軽い方の刑に処せられる。例としては尊属殺人罪の廃止などが挙げられる）。・・・ウィキペディアより
註２：国語で言えば、読めば読むほど内容に矛盾が出てくる教材文。算数で言えば、体系化されていない内容（分数教材の扱い・・・分数の概念形成、図形教材の扱い・・・三角形の分類）
註３：例えば、工場で考えてみましょう。ある人がＡと言う仕事をやっていたとしましょう。あるとき、工場が刷新されてＢという仕事をすることになったとしす。ただし、その仕事をやれるようにするためには研修が必要です。さて、この研修の費用は、研修を受ける人が払うのですか。そして、研修の時間は、勤務時間外にしないといけないのですか。答えは、わかりきっていますね。勤務時間内に会社の費用で行うべきですよね。
註４：日本教職員組合のこと、しかし、反戦平和とか本来の組合のすべきでないことまでしています。教員免許更新制度やサービス残業の問題、昼休みの休憩の問題など労働条件を改善すべきです。そして、法制度上も組織を作るだけでなく、団体交渉権やスト権も与えるべきです。・・・法の下の平等
註５：教科書の質の向上、大学の質の向上、大学と学校と教科書会社の連携の元で教科書の質を上げていく工夫。
Ｈ１９．１２．３１
教科書「大東亜戦争軍の自決命令事件」について２ 教科書検定
卑怯（註１）な文科大臣渡海紀三朗氏のために、教科用図書検定調査審議会が矢面に立たされることになり、ついに左翼（共産党や旧社会党勢力）に屈してしまいました。しかも、事実と異なることでです。
集団自決が起こった原因は米国軍の国際法無視の民間人虐殺（無差別爆撃・艦砲射撃）が原因です。そして、米国軍が紳士的でないことは当時の記録（アメリが軍日本占領後の暴力事件、強姦事件、殺人事件など）やイラク戦争での捕虜虐待事件を見れば容易に想像できます。もし、集団自決を教科書に載せるのならば、米国の国際法違反行為にも触れるべきです。教科書に記述されないのは間違っています。個人的には、集団自決について教科書で触れるべきではないと考えます。
文科省は、「日本軍の存在があったから集団自決があった。」すなわち、「日本軍が存在していなければ集団自決はなかった。」と言っていますが、日本国内で戦線に日本軍がいることは当たり前のことです。戦線で日本軍がいないと言うことは、日本軍が米国に降伏するか、その場所を日本が放棄することになります。もっと言えば、日本軍は米国軍にすぐに降伏してしまえばよいと言うことになります。さらに、文科省は「日本は、さっさと降伏して米国の占領され、場合によっては米国の植民地になればよい。」とも受け取られます。これでは、文科省が日本の組織だとはとても思えません。文科大臣渡海紀三朗氏はアメリカ人になった方がよいのではないですか。やはり、文科大臣は日本人に担当してもらいたいです。「米国軍が存在していなかったら、集団自決はありませんでした。」が正しい記述です。
参考（ＮＨＫ Ｈ１９．１２．２６ ＨＰより引用）
この問題は、来年４月から高校で使われる日本史の教科書の検定で、沖縄戦で起きた集団自決に関する記述から日本軍の直接的な関与が削除されたものです。これに対し、沖縄県で反発が強まり、文部科学省が記述の修正を認める方針を示したことから、先月、これに促される形で６つの教科書会社が「強制」や「強要」ということばを使うなど、さきの検定で削除された集団自決に対する日本軍の関与を強めた表現で訂正申請を行いました。これに対して、文部科学省の教科書審議会は、沖縄戦や軍事史など９人の専門家からの意見も踏まえたうえで、集団自決に関して日本軍の直接的な命令を示す資料は見つかっていないとする検定意見は変えないものの、手りゅう弾の配布や「米軍の捕虜になるな」などという教育など日本軍の関与なしには起こりえなかったとする考え方をまとめました。そして、申請のあった６社８冊の教科書のうち、５社７冊の日本軍の強制性や命令を示した記述について「このままでは認められない」という認識を伝え、事実上の修正を求めました。これを受けて、教科書会社側は、日本軍の存在を含む集団自決に至ったさまざまな背景を書き込むなどして再度記述を修正し、文部科学省は、２６日、６社８冊の教科書すべての訂正申請を承認しました。この結果、「日本軍によって集団自決に追い込まれた」などというさきの検定で削除された日本軍の関与を明記した記述が復活することになりました。
註１：文科大臣渡海紀三朗氏は、国会で教科書問題で自分が矢面に立たされるのを避けるために、教科書検定の経過を公開することにしました。そして、教科書問題でマスメディアや国会で取りざたされ、文科大臣辞任に追い込まれることを避けようとしました。しかし、本来責任を持つべき文科大臣が、無責任にそのような公開をすることは後世に禍根を残すことになります。すなわち、教科書の検定が間接的にマスメディアや左翼によって左右されることになるからです。国民がマスメディアや左翼を選んでいるわけではありません。国会議員は国民が選んでいるのです。選ばれた国会議員が責任を持たないことは、民主主義を否定するものです。
Ｈ１９．１２．２７
教科書「大東亜戦争軍の自決命令事件」について
旧社会党や共産党のために（中共や北韓、韓国のために）教科書が作られようとしています。教科書検定問題です。
わしズムＶｏｌ．２４ Ｐ１１ より引用します。
「軍の命令があったということになれば、年金支給は可能」という厚生省の助言を聞いた当時の渡嘉敷島（とかしき）村長が、島の守備隊長だった赤松嘉次氏に相談し、「嘘の自決命令書」を作成して提出したことからこの問題は始まった。・・・赤松隊長は集団自決の報を聞いて、「何でこんな早まったことをするね、みな、避難しなさい」と言い、生き残った負傷者にただちに治療行為を命じた。これで助かった住民もいるのである。米軍の砲撃の最中でも、軍の食料を村民に二分して与えた赤松隊長に感謝している住民も多いはずだ。座間味島（ざまみ）でもやはり遺族年金のために梅澤部隊長（註１）が自決命令を出したことにされたのである。 引用以上
自分の名誉よりも住民の将来の方を大切にした赤松隊長や梅澤部隊長の行為は、美談として語られるべきです。これらの行為を、「自決命令」したと言う紙切れを大切にして心を大切にしない「沖縄の集団自決があったことにする団体」は、日本人を侮辱していると言わざるを得ません。日本人は、日本人をもっと大切にすべきです。このような美談を道徳の教材にしてもよいくらいに思います。
自分の政治生命延命のために、平気で教科書検定を文科大臣渡海 紀三朗さんとは、雲泥の違いです。ともかく、日本人のための日本人の教科書を作るべきです。
註１：毅然とした態度で無実訴え 梅沢元守備隊長 ｍｓｎ産経ニュースより引用（Ｈ１９．１１．９）
「自決命令は出していない」。９日、大阪地裁で本人尋問が始まった沖縄の集団自決訴訟。住民に集団自決を命じたと記述された座間味島の元守備隊長、梅沢裕さん（９０）は、毅然（きぜん）とした態度で“無実”を訴えた。確証がないのに汚名を着せられ続けた戦後６０余年。高齢を押して証言台に立ったのは、自分のためだけではない。無念のまま亡くなったもう１人の元守備隊長と旧日本軍、そして国の名誉を守りたい一心だった。
地裁で最も広い２０２号法廷。梅沢さんはグレーのスーツに白いシャツ姿で入廷した。終始しっかりとした口調で尋問に答え、焦点となった集団自決前の状況について問われると、「（村民に対し）弾はやれない、死んではいけないと言いました」と語気を強めた。
梅沢さんにとって決して忘れることのできない出来事をめぐる証言だった。米軍が座間味島上陸する前日の昭和２０年３月２５日。「あの日、村民５人が来た場面は強烈な印象として残っている」という
大艦隊の艦砲射撃と爆撃にさらされ、本格的な米軍との戦闘に向けて山中の陣地で将校会議を開いていた夜、村の助役ら５人が訪ねてきた。
《いよいよ最後の時が来ました。敵が上陸したら逃げ場はありません。軍の足手まといにならないように老幼婦女子は自決します》
助役らは切羽詰まった様子でそう言い、自決用の爆薬や手榴（しゆりゆう）弾などの提供を求めた。驚いた梅沢さんは即座に断り、こう言葉を返したという。
《自決することはない。われわれは戦うが、村民はとにかく生き延びてくれ》
戦後、大阪府内で会社勤めをしていた昭和３３年、週刊誌に「梅沢少佐が島民に自決命令を出した」と報じられた。そして、戦後まもなく発行された沖縄戦記『鉄の暴風』（沖縄タイムス社）長命令説が記述され、沖縄の文献などに引用されていることを知った。
「お国のために戦ってきたのに、なぜ事実がねじ曲げられるのかとがく然となった。屈辱、人間不信、孤独…。人の顔を見ることが辛く、家族にも肩身の狭い思いをさせた」
転機が訪れたのは５７年。戦没者慰霊のため座間味島を訪れた際、米軍上陸直前に会った５人のうち、唯一生き残った女性と再会。戦後、集団自決は隊長命令だったと述べていた女性は苦しみ続けた胸の内を吐露し、「隊長は自決してはならんと明言した」と真相を証言してくれた。
さらに６２年、助役の弟で戦後、村の援護係を務めた男性が「集団自決は兄の命令。（戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づく）遺族補償を得るため隊長命令にして申請した」と述べ、梅沢さんの目の前で謝ったという。
「彼から『島が裕福になったのは梅沢さんのおかげ』と感謝もされた。ようやく無実が証明され、これで世間も治まるだろうと思った」
だが、隊長命令説は消えなかった。大江健三郎氏の著書『沖縄ノート』など多くの書物や教科書、さらに映画などでも隊長命令説が描かれた。梅沢さんはいう。
「戦争を知らない人たちが真実をゆがめ続けている。この裁判に勝たなければ私自身の終戦はない」
Ｈ１９．１２．９
携帯電話のフィルタリング機能について
最近、子供の携帯電話による問題行動や犯罪が世間をにぎわわせています。出会い系サイトや詐欺サイトなどで、子供が犯罪に巻き込まれてしまっているからです。そのために、教育再生会議（平成１９年１１月２７日）で携帯電話のフィルタリング機能が話題に上がりました。そこで、フィルタリング機能についてどんな方法がよいか考えてみました。
フィルタリング機能は確実ではありません。つまり、有害情報がフィルタリングされない場合もあるし、有害情報でなくてもフィルタリングされてしまうことがあります。 従って、フィルタリング機能を強制することは言論の自由に反するおそれがあります。それでは、どうしたらよいでしょうか。親の権限で、フィルタリング機能を設定するべきです。そして、親が適切にフィルタリング機能を選択できるようにすることが必要です。下の図のようにまとめてみました。
Ｈ１９．１２．２
教育再生会議（大学入試）について
大学入試は、その大学及びその学部にふさわしい学生を集めることが基本です。そのためには、その大学で、入試問題を作り学生を入学させなくてはなりません。ところが、大学センター入試が始まり、客観的と思われている入試で学生を集めています。しかし、それで集まった学生が、本当にその学部にふさわしい学生だと言えるのでしょうか。
学生に目的意識がないと、ただ点数だけで大学の学部に入ってきます。目的意識のない学生は、入学しては困るはずです。定員の数字合わせだけのために入学させたのでは、将来のためになりません。すなわち、その学部の質が上がらないからです。その学部が好きな学生が入学していないと質が上がらないからです。好きだからこそ工夫ができ、新しい発想ができるのです。
その意味からすると、客観的な入試だけでは、不十分なのです。大学入試センター試験が始まる前の「難問奇問」が、学生の「身の程を知る」大事な関門でした。ところが、センター試験で入試が簡単になり、無理をして単純な勉強を繰り返せば、受かるようになってしまいまた。まるで、長時間労働を象徴しているような事態です。発想の転換する学習をする余裕がないのです。発想を転換できないようでは、付加価値の高い労働は望めません。そこのところが問題なのです。その学部が好きでないと答えられないような入試問題が必要なのです。そして、面接試験も必要に応じて行う必要があります。
教育再生会議が大学入試のための資格試験を実施しようとしています。それは、ますます、単純な学習を長時間行うことを全体としています。ますます、学生の質を落とし、ますます日本の労働者の質を落とします。名目上は、大学生の質を上げる振りをして、実際は国際的な質を落とそうとしているのです。先進国で有り続けるためにはこんなのやり方ではだめです。まず、行って欲しいことは次のことです。
（１）大学センター試験を廃止すべきです。その大学で必要な学生を入学させるべきです。たとえ定員割れをしても、そのぶんゼミを増やして、大学生の質を上げるべきです。そして、ゼミを適切に増やしていれば、大学の予算を減らす必要なんてありません。それを、入学する大学生が少ないからと言って予算を減らしたのでは、質の悪い学生を受け入れることになり、大学卒業生の質を下げてしまうことになります。
（２）大学の予算を大学生の人数で決めるのは間違っています。大学の研究の内容で決めることが重要です。独立採算制は、完全に間違っています。文系の研究に予算を出す投資家や会社なんてほとんど考えられません。すると、非常に少ない予算で文系の研究を行わなくてはならなくなります。日本の文化を衰退させる最悪の政策です。
（３）新しい、文科省の天下り先を作ろうとしているとも疑われます。新しい組織を作り、文科省の権力を拡大させようとしているだけにしか思えません。
何のために大学が存在しているのかをもっと真剣に考える必要があると思います。３０年後の日本の未来を想定して、それにふさわしい人材を育成するという点で教育の未来を語るようにして欲しいと思います。考えた振りなんて困るのです。しっかりと様々な方向から検討して欲しいのです。
Ｈ１９．１１．１９
教科書検定審議一部公開について〜文科大臣 渡海 紀三朗（とかい きさぶろう）さん、卑怯ではないですか？
教科書の検定は、公教育だからあるのです。一部の偏った意見を、公教育の場に持ってくることは、日本のためにならないからです。特に、法的に問題のある内容（沖縄戦の集団自決の問題など）を記載するなど、言語道断です。また、教科書は将来の日本を担うのにふさわしい国民を育てるための教材です。教科書で学習をして、日本人としての誇りを感じ、将来を担って行かなくてはならないと感じる教科書にすべきです。
教科書検定の審議を一部公開するなどと言うことは、とんでもないことです。直接、教科書検定の委員会が、圧力団体の前にさらされるからです。教科書会社は、教科書会社の方針とともに、一部の圧力団体（旧社会党系や共産党系：証拠はありません）と共同して、日本を屈辱にまみれた歴史に書き換えたいのです。そして、新しい共産主義社会を作りたいと考えているのではないでしょうか。彼らにとっては、事実か事実でないかはどうでもよいのです。日本の歴史が悲惨なものであればあるほどよいのです。日本人が誇りを失えば失うほどよいのです。
最近の内閣は、スキャンダルで大臣が辞職したりすることが多いです。そして、なったばかりの渡海紀三朗文科大臣にも、魔の手が迫ってきました。それは、教科書検定で、集団自決をしたことが、軍の強制ではなかったという判決が出たので、沖縄の集団自決（註１）が教科書から削除されたことです。それを不満に感じた圧力団体が国会で問題にしようとしたのです。 そこで、文科大臣は、教科書検定の審議経過も一部公開することにして、国会で問題になるのを避けることにしました。これは、文科大臣が教科書の内容について最終責任を持たないということを意味すると疑られます。文科大臣は、検定結果を教科書検定の委員会のせいにすることにしたのです。自分の文科大臣の椅子を大切にして、文科大臣は、日本の教科書の内容を一部の圧力団体の思うままにすることを黙認しようとしています。これでは、日本の将来は危ないと言わざるを得ません。最終責任を政治家か取るからこそ、政治家たるゆえんです。日本の教育よりも自分の文科大臣のポストが大切だという人間は、文科大臣にはふさわしくないと思います。
沖縄戦の集団自決の問題（註１）は、 自分の文科省のポストの延命のために、教科書検定に対して直接住民が圧力をかけられるようにしました。そうすると、公教育であるはずの検定委員会が一部の不誠実な人々の意見の圧力に屈して、日本全体の利益に反することになる可能性があります。特に、沖縄戦の集団自決について、事実と反する感情論がまかり通る可能性が大です。それでは、日本の教科書は、中共や北朝鮮、韓国の教科書になり果ててしまいます。旧社会党系や共産党系の教科書になり果ててしまいます。日本人が日本人のための教科書を作る必要があるのです。
註１：（１）自発的なもの→米国人に強姦・拷問・虐待されるくらいなら、死んだ方がまし。艦砲射撃による沖縄の破壊。次々と死ぬ日本人。沖縄などにおける米軍所属の軍人による交通事故の隠蔽、少女強姦事件。グアンダナモ米軍基地のイラク人虐待事件。国際法違反の長崎・広島の原爆投下。これらのことを思えば、米国人が紳士的だとはとても思えません。だから、集団自決があっても不自然ではありません。
（２）絶望して自暴自棄→軍人なら万歳突撃、民間人なら集団自決
（３）日本軍司令部は、民間人を巻き込まないように指導していたが、末端ではそうも行かなかったようです、特に、沖縄戦で逃げ場が無くなった民間人が軍人と混在している状況では、パニック状態になっていたと想像されます。そのパニック状態が、冷静に玉砕命令が出されたとは考えにくいです。もし、民間人の玉砕命令があったとすれば、一部の狂った司令官が命令した疑いが強いです。もし、そのような命令をしていれば、軍法会議物で、日本軍の憲兵に処刑されたことでしょう。しかし、沖縄は米国軍に占領されたのでそのようなことはできませんでした。
（４）慶良間列島と伊江島では、島の有力者から「住民は男女を問わず軍の戦闘に協力し、老人と子供は忠魂碑前に集合の後、全員玉砕せよ。」との通達が出されました。これは、悲劇としか言いようがありません。・・・小学館 歴史群像 太平洋戦争シリーズ４９ 沖縄決戦 Ｐ１７２を参照
・米国軍の潜水艦に沖縄の避難住民を乗せた対馬丸が昭和１９年８月２１日に撃沈させられました。民間人を虐殺する米国軍のやりそうなことです。
・なお、この註１は、よく検討していないのでお許しください。
Ｈ１９．１０．２１
指導者のモラルの低下について
（１）経団連のモラルの低下
昔の経団連の人たちは、日本全体のことを考えて行動していました。今の経団連の人たちは、会社の経営者の立場を中心に考えています。例えば、ピンハネの合法化（昔やくざの商売であったが、今は名前を変えて人材派遣会社）ホワイトカラーイグゼンプションの提案などです。本来は、労働者の社員教育や技術力の向上を会社ぐるみで行う必要があるのに、それを個人の責任に押しつけるという行為なのです。長期的には、個人の責任に押しつけても、できることは限られています。個人の発想を生かす会社は必要です。しかし、会社はあくまで組織で動くものです。個人責任ばかり追及しても、会社の発展にはつながりにくいでしょう。
社会の教科書で、中共の市場の大きさを示した統計（携帯電話の例、市場規模では中共が一番というグラフ、計算してみると英国の一人あたりの携帯電話の数が一番）が示されていました。しかし、中共は１億強の裕福な人たちと、十数億の貧しい人たちの２極化が進んでいます。だから、毎年、１万件以上の非合法な抗議行動があります。そして、子どもの人身売買もあります。また、法輪功の弾圧、捕まえて内蔵を売っていると言う話もあります。これでも、単純に中共の市場の大きさだけを強調していて良いのでしょうか。少なくとも、中共の著作権法違反や安全ではない農産物が多いことも教科書で触れるべきではないでしょうか。
（２）政治家のモラルの低下
政権が不安定になってから、特に小泉・安倍内閣以降、自分の選挙区ばかり気にして、日本のために考える人たちが減ってしまいました。小沢民主党は、票を得るためならできもしないようなことを公約してリップサービスをしています。深く考えもしないで、適当に言うのです。それは、最近の与党も野党も同じです。社民党など典型例です。
政治家は、様々な場合をよく検討して政策を決定する必要があります。目の前に成果をひけらかす（註１）よりも、目立たないけれども日本国民みんなのためになる法律や政策を行うべきなのです。また、自分の政党の支持者たちのみが喜ぶ政策だけではいけないのです。それが、政治のモラルというものです。
政治教育を行うためには、教師自身が政治に関心が無くてはなりません。今のように、教師の政治活動を禁止しているようでは、まともな政治教育が行われるとは考えられません。もちろん、学校の中で特定の政党の支援をしたりすることはいけませんが、勤務時間外は自由に政治活動ができるようにするべきです。教師自身が政治に規定できる状況を作らなければ、心のある政治教育はできません。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 現在の状況 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 理想的な状況 ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
（３）マスメディアのモラルの低下
昔は、製品比較でも、長所も欠点も評価するのが普通でした。しかし、最近は広告主を意識して、正当な評価をしようとしない傾向があります。広告主も心が狭くなっています。自分の製品の欠点を少しでも言われると気に入らないみたいです。欠点だけ強調されれば、文句をつけたくなるのは仕方がないかも知れませんが、長所も欠点も平等ならば良いと思うのですが・・・。
相手が弱いと分かれば、徹底的に追求する。オーム真理教が全盛だった頃は追求しない。逮捕されたら、急にピラニアのように追求を始める。朝鮮総連については、いまだに・・・。
携帯電話をしながらの車の運転は、酒気帯び運転程度に危険ですが、酒気帯び運転は厳しく罰せらますが、携帯電話をしながらの運転はさほどではありません。携帯電話の会社が、テレビにも新聞にも雑誌にも多くの広告を出しているのと無関係だとは思えません。酒気帯び運転と同様に携帯電話をしながらの運転禁止のキャンペーンをすべきでは？？
最近の国語の教科書では、テレビや新聞の報道をまねをする教材が、見受けられますが、その中に「公正な報道」という点が甘い気がします。「自分の言いたいことをどのように報じたらよいか」という視点だけでは、現在のマスメディアのあり方の絶賛教育です。宣伝・広告と報道の違い、解説・評論の違いをきっちり学ばせ、「公正な報道を行うにはどのような方法が大切か」という点の学習もする必要があります。
（４）まとめ
指導者にモラルがないと日本は良くなりません。そして、「政治が良くなれば、世の中も良くなる」と言うことが確信できるようにしなくてはいけません。確信できるためには、国民が政治活動に参加できないといけないのです。そのためには、サービス残業は、敵です。そして、公正な報道がなされないと、正しい判断材料を手に入れることが極めて困難になってしまいます。全てが一体となって日本を正常にしていく必要があるのです。
註１：テレビ番組や新聞で目立つことだけを考えているように思えます。
Ｈ１９．１０．８
小学校で英語？２年生から分数？大丈夫ですか文科省！！
高校の理系の教師は概して口べたです。口達者な理系の教師がいるとすれば、概してその教師は理系が苦手です。口達者の高校教師で理系が得意という人はなかなかいないものです。しかし、大学教授くらいのレベルになると両方できる思います。理系の大学教授と文系の大学教授と比べれば、概して文系の大学教授の方が口が達者です。
従って、文系の多い口の達者な中央教育審議会の役人は、理数系のことは、不得意な人が多くを占めています。その不得意な審議員が２年生から分数を教えるなどと言うに違いありません。庶民の能力を知らない（わざと知らないふりをしている！？）エリート、中央教育審議会の役人は、庶民の小学生が日本語と英語を同時に学ぶことが可能だと思っています。国語の授業時間が週に数時間、英語が１〜２時間程度で・・・。中央教育審議会の委員がエリートであるとは信じられません。
分数の能力は、２つの変量（分母と分子）を同時に扱う能力があるかどうかということです。これと同程度の能力としては、「算数の文章題で、２つの式が必要な問題」がこれに該当します。そして、そのような問題を解くだけでなく、図を使って表す学習（図を穴埋め式で学習するではなく最初から自分で図を書く・・単に問題を解くよりも図を書く方が難しい場合がよくあります。）が大切なのです。算数で図を書くには、頭の中をきちんと整理して考える必要があります。このよう考えることが論理的な思考の能力を伸ばし、分数を理解する力になるのです。このようにすれば、かえって、分数が３年以上で学習することにより、２年生から学習する以上に能率良く学習が行われるはずです。分数を２年で学習する暇があったら、図を書く練習や２つの式が必要な文章題をしっかりと学習さりさせるべきです。
この「２年から分数を学習させた方が分数が身につく」という考えは、英語の議論と似ています。「とにかく、早く英語に触れさせれば、英語が身につくだろう。」と言う予想で、政策を決めています。実際に検証などしていません。現実に、海外子女の例ではっきりとしています。小学校の小さいうちに英語圏で育っても、日本に戻ってくると何年もしないうちに英語を忘れてしまうことが多いそうです。そして、英語圏にいたので日本語も不得意です。むしろ、中学生以上で英語圏に住み英語を身につけた方が、日本に戻ってからも、英語の能力が保たれていることが多いそうです。つまり、日本で小さいうちに育てば、日本語で頭が働きます。だから、英語圏に住み着いても、日常会話は丸暗記しても、英語の考え方を理解しているわけではありません。日本語の頭から英語の頭に切り替わることはなかなか難しいのです。そのようなわけで、日本語も英語も分からない子どもができてしまいやすいのです。
現実に、日本語の学力が落ちているという結果ができているのにもかかわらず、英語を小学校高学年から学習させようとする暴挙は理解できません。どうしても、小学校から英語を教えたいのであれば、日本語の能力が育っている子どもに限るべきです。「二兎を追う者は一兎をも得ず」と言うことです。
こんな低レベルの議論しかできない中央審議会を信じてよいものでしょうか。専門家による真剣な議論が必要です。現実の子どもの実態を見ながら、３０年後の将来を見通し、分数の学習や英語を始める時期を決定すべきです。
Ｈ１９．９．２３
年間授業時間数の問題
先進国に比べ、年間の授業時間数が少ないことが問題になっています。どうも、その時間数というものには、技能教科や道徳・学級・クラブなどの時間は入っていないようなのです。そして、先進国は週休２日制です。
日本では、バブル以前にほとんどの企業で週休２日制が実施されており、公務員においても、週休２日制が実施されました。しかし、教員は例外でした。小さな企業や同族会社、自営業者、などもまだでした。教員は公務員の部類なので、休めない土曜日の休みの分だけ、夏休みなどにまとめて取ることになっていました。そして、他の公務員と同様な扱いにしようとしたのが最近でした。しかし、タイミングが悪かったのです。バブルがはじけた後になってしまったのです。しかし、この頃になるとリストが、多くの企業で実施され、残業手当を支払わない違法労働がはびこっている時代になっていたのです。高度成長期のように、働いた分だけ給料が支払われ、給料ベース自体も上がっていった時代とは違います。給料は、低迷するか、下げられ、正社員を雇わず、人材派遣会社（ピンハネ）から雇う場合が増えてきました。ただ、一部の社員と株主が大もうけをして、後は低賃金労働者に引き下げ、正社員はサービス残業に明け暮れ給料が低迷している時代になってしまいました。そのタイミングで週休２日制を実施したものだから世間からの風当たりが強くなったようです。そして、国際的に比較した学力も落ちてきていることも問題になりました。
そこで、政治家と文科省は年間の授業時間数が少なくなったから、学力が落ちてきたのだという議論にすり替えることにしたのです。しかし、本当の理由は週休２日制が主要な原因ではありません。欧米諸国だって週休２日制なのに、授業時間が大きく差がつくなんて変だと思いませんか？教科が違うのです。技能教科をそのまま存続させた上に、総合学習を導入したことが失敗の大きな原因なのです。欧米諸国では、日道徳や技能教科は、学校教育とは別だと考えている国が多いのです。
次の問題なのは、教室を乱す子供にしつけをするために時間が割かれ、普通の子供にかける時間が減ってしまうことです。例えば、ＡＤＨＤ児やＬＤ児に対応する時間、対応の準備のための時間、子供達の社会性の発達の遅れに対応するための時間なども、そうです。子供同士のトラブルに対応する時間。親のクレームに対応する時間。社会性の発達が全体的にも遅れているので、クラス全体にも話す時間が必要になってきます。トラブルを未然に防ごうと思えば、それに関係した話を時間をかけてしたり、話し合わせたりしなくてはなりません。授業時間が多少減ったとしてもね。子供同士、お互いに疑心暗鬼で、信頼しあっていなければ、話し合いの学習などできやしないからです。お互いに足を引っ張り合ってしまうのです。こうして、普通の子供の授業を準備する時間や授業時間そのものが失われていくのです。（例：隣の席同士けんかしてて、授業に集中できるのでしょうか。）
次に、問題なのは、教科書無償制度を維持するために、教科書にかけるお金を節約し、教科書を薄く、内容も薄くしたことが問題なのです。学級内の子供の能力差（しつけ＆社会性の差に起因する、自分勝手に歩き回る、集中力がないなど）が大きくなっているのにもかかわらず、教科書はそれに対応していません。それどころか、教科書は薄くなったのです。一見、教科書が簡単になると、全員が習得できるような気がしますが、現実にはそうはいきません。教科書は、簡単な基本問題から、応用問題まであるべきなのです。子供は、さらに上の目標があると、更に伸びようとするものなのです。簡単に分かってしまうと、一生懸命考えることを止めてしまうのです。文科省は、教科書を簡単にしたことを大いに反省すべきです。
学校の土日が休みになったとき、授業時間が３５の倍数で無くなりました。年間３５時間の授業と言うことは、週に１時間学習すれば良いと言うことです。時間割がはっきりしていて、わかりやすかったのです。年間で、３５時間だと若干余るので余裕がありました。ところが、土曜日が少なくなった分を教科の種類を減らさなかったので、例えば、音楽が年間３５時間×２＝７０時間だったのを６０時間にしてみたりしたのです。このようにすると、毎週同じ時間割では、うまくいきません。時間割の調整をしなくてはいけなくなります。ここ十数年間で子供の忘れ物が多くなったのに、加えて、時間割も変更するのが当たり前になり、忘れ物を更にしやすくしてしまうのです。変な調整をしなくても済むようにすることが、大切ではないでしょうか。
無理矢理、欧米諸国の時間数に合わせるために、１０分や１５分刻みを時間を設定したり、５分授業時間を短くして最大６時間授業であったのを７時間授業にするなど、小手先の授業時間合わせをしようとしています。例えば、４５分授業を４０分授業にすれば、算数ならば、計算練習の時間を減らさないといけないことになります。それでは、全体の作業効率が落ちるのではないでしょうか。もし、４５分を４０分授業にした方が能率的であるとするのならば、実験校をいくつか作って、学習効果を検証すべきです。何となく、４５分と４０分はあまり違いがないからいいだろうというような安易な考えは止めるべきです。もし、４５分を４０分にするのなら、それに合わせた教科書を作るべきです。個人的な意見としては、４５分なら４５分のまま、５０分なら５０分のままにすべきです。
基本教科の年間授業時間数を確保するにはどうしたらよいでしょうか。技能教科と総合学習の時間を減らしたらよいのです。技能教科の時間数を半分くらいにして、総合の時間を無くすのが妥当な線ではないでしょうか。技能的なことは、専門家が教えた方がよいものです。全教科を教えないといけない小学校では難しいのです。そして、中学校においても、世の中にはもっと専門家がいるはずです。特に才能という分野ではそうです。もし、授業時間の優先を考えるのならば、技能教科と技能教科以外の教科と比べれば、国語、数学、社会、理科、英語を優先すべきでしょう。芸能科（音楽、習字、図工）、技術家庭科（情報科も含め）のように、教科を減らし全体の時間数を減らすことが必要なのです。変な教科の縄張り意識を捨てて、必要なことを果敢に実施しなくてはいけません。
Ｈ１９．８．６
教員免許更新制度２
教員免許は、就学前教育・初等教育・中等教育などにかかわる教育職員に就くための資格要件とされている免許状です。
小泉内閣、安倍内閣が規制緩和と言いつつ、教員免許状の件では規制を強化しようとしています。しかも、他方では教員免許状制度を破壊しようともしています。矛盾に満ちた政策です。
教員免許状が必要だとするとよい職業を考えてみましょう。
家庭教師、塾の講師、放課後教室（小学校１〜３年までの核家族で保護者が働いているために家が子供だけになってしまうために子供を預かる場所）の指導者などが挙げられます。規制緩和というのならば、これら全てのことを勘案しながら法律を考える必要があります。ところが、今回考えられているのは、学校の教員だけです。
教員の資質と言ってもいろいろあります。家庭教師に必要な資質と、４０人を一度に教える資質とは自ずと変わってきます。大都会の身勝手な親に育てられた身勝手な子供を教えることは難しくても、身勝手でない普通の子供を教えることなら大丈夫だと言うことがあります。
現在問題となっているのは、しつけのなっていない子供の指導（ほとんどの場合は親もルーズ）、指導の難しい素質のある子供の増加（ＡＤＨＤ児、ＬＤ児、登校拒否児、怠学児、障害児）なのです。この対策をきちんと行わないで、指導力が無いと言われても困るのです。結局、免許更新制度を行ったところで解決などしないのです。全く、次元の違う問題だからです。問題のある子供と問題のある親に対応できないからと言って、教員の資質がないと言えるのでしょうか。
問題の児童や生徒が多くいる学校でうまくいかなくても、普通の学校ならＯＫとか塾ならＯＫということも十分あり得ます。それなのに、教員免許状を剥奪するのはやり過ぎだと思います。逆に教員免許状を持っている塾の講師が指導方法が未熟でうまくいかなくても教員免許を更新できなくなることはありません。更新とは無関係だからです。
以前、一級免許状を一種免許状とする免許法の改正がありました。それまでは、二級免許状を持っていても７年間その学校に勤務していれば申請だけで一種免許状を取ることができました。それからは単位を取る必要があるようになりました。既得権が反故にされました。
次に行われた改正は、当該学校で２種免許状のものは１種免許状を取るという努力義務を課しました。そして、そして、多くの２種免許状の教員は１種免許状を取りました。
文部省や文科省は教員免許状制度をいじくり回すことが得意なのです。そのたびに教員は翻弄されました。
挙げ句の果てに、今回の免許更新制度です。完全に既得権を無視しています。これでは、日本が法治国家であるとはとても思えません。普通の法治国家ならば、これから採用される人のみに適応させます。だいたい、教員免許更新制度を取っている国事態が非常に珍しいのです。
こんなふざけたことが行われて良いのでしょうか。どの学校でも授業の成り立たない教員はその教員を採用した教育委員会が退職を勧告することが本筋です。教員として採用することと免許制度と話をごっちゃにするような法的センスのない者が平気で法律を作るのだから、とんでもない話です。
安倍総理は、車の免許更新制度になぞらえていました。車の免許更新とは、話が全く違います。車は免許を取れば、すぐに車の運転ができます。レンタカーでもね。しかし、教員免許を取っても教員としては採用されません。採用試験に受からないといけないからです。どこが運転免許と一緒なのでしょうか。「安倍総理は法律を知らない。」としか言いようがありません。安倍総理を選ぶこと自体が日本国民の恥です。
別の面から考えて見ましょう。医師免許状は一生ものです。どんなに、不祥事を犯す医者がいても、絶対に医師の免許状の更新制度という話にはなりません。医師免許状も教員免許状と同じで、医師免許状を取ったからと言って、意思として病院などに採用されるわけではないからです。教員と医師との一番の違いは何でしょうか。医師会という強力な圧力団体があるからです。医師会は膨大なお金と献金を行う力があるからです。たとえ、医師が表面上は共産党などを支援していたとしても、裏でしっかりと自民党に献金しているからです。医薬品会社ともつながりが深いからです。それとは、うって違って、日教組みたいな団体は、たいした圧力団体ではありません。人数はそこそこいても、資金力がありません。そして、自民党に献金するという才覚がありません。日教組が民主党などに肩入れするものだから、自民党が教員をひどい目にあわしているのです。小泉内閣は、まだパワーがありましたから、教員組合のねらい打ちと言うことはしませんでした。しかし、力のない安倍内閣は、安倍内閣は弱い者にしか手を出さないようです。争議権のない公務員が一番やりやすいですからね。卑怯ですね。美しい日本を標榜している安倍総理とはとても思えない行動です。だた、一般の国民からすれば、改革をしたように思えるところが怖いところです。
ここで、断っておきますが、民主党も教員養成４年から６年にしようとする暴挙を行おうとしています。自民党も民主党も教育を選挙のための道具としか考えていないようにしか思えません。まともな議論を行っていただくように強く要望します。
免許更新のための講習を３０時間以上を設定しています。民主党だって、教育を真剣に考えているとは思えません。この３０時間の講習を誰が行う問いのでしょうか。元々、教員免許を取らせるために教えた大学の先生達が教えるのです。その教え子が問題を起こしているのです。何か矛盾していると思いませんか。もともと、大学の崩壊が教員の資質の低下に関わっていることを無視しています。授業に出席しなくても単位が取れるような大学がおかしいのです。このような状態を通常大学崩壊というのではないでしょうか。３０人家の講習内容とその効果・意味をきちんとしない限り茶番劇としか思えないのです。
このような改悪が進めば、次のようなことが考えられます。
（１）教員養成大学の希望者が減ると思います。
（２）教員の保身のための時間が多く（免許講師制度、教員評価制度）かかるようになります。すると、本来の教材研究や子供とふれあう時間が無くなります。別の言い方をすれば、心に余裕が無くなり、神経がぴりびりしたじょうたいになることでしょう。教員がそんな状態になれば、子供に良い影響があるわけがありませんね。
よくするためには、心に余裕のある状況を作る必要があります。あまり細かいことを言わずに、プライドを持っておおらかに指導できる状況を作る必要があります。時間的にも精神的にも余裕があって、初めて良い教育がなされるのです。基本的には、やらなくてはならない仕事は勤務時間内にできるようにしないと駄目ですね。成績処理など期間的に残業が必要な場合は、きちんと残業手当を出すべきです。まず、労働基準法を守らないといけませんね。
まだ、教員免許更新制度には不明な点が多いです。教職大学院とはなんでしょうか。そして、これからは、教員免許状を取るにはどうしたらよいのでしょうか。６年間学習しないと教員免許を取れないようにするようです。すなわち、一般大学では、教員免許状を取れないようにすることです。学生が減り続ける中、文科省が教員養成大学を守るために行っている施策に思えます。小泉内閣によって、予算を削減された教育系の大学は、企業からの補助金はあまり期待できません。かなり、困っていると予想されます。自分の権威のためなら、現職の教員の立場など気にしないのが文科省です。立派な心がけですね。
免許状の修養年限が６年間ということは、現在の制度の４年とギャップが２年間あります。と言うことは、２年間誰も教員免許状を取得できないのでしょうか。疑問が高まるばかりです。
なお、法の不遡及の原則からすれば、もし、平成２１年度から実施と言うことになれば、平成２１年３月３１日に免許状を取得したことになるはずです。すると、平成３１年３月３１日まで免許状は有効なはずです。それよりも短くなれば、違法な法律と言うことになります。
この教員免許状の件については、もっと詳しいことが分かり次第考えていきたいと思います。そして、本来はどんな制度が良いのかも考える必要がありそうです。
Ｈ１９．７．２２
個人情報の漏洩について２
個人情報漏洩は重大な問題です。しかし、個人情報の種類によって重大さは違うのです。例えば、Ａ「名簿番号と氏名」、Ｂ「氏名、住所」、Ｃ「学年、氏名、保護者名、住所、銀行口座番号」、Ｄ「名簿番号、氏名、成績」などです。Ａは、重大な問題を引き起こす情報だとは思えないですね。Ｂは、年賀状を出す程度の個人情報です。そして、住宅地図と実際の家の表札を見れば分かる情報です。Ｃは、悪徳業者（振り込め詐欺など、振り込み詐欺）が利用しそうですね。Ｄは、教材販売会社が利用できるかも知れません。塾や家庭教師の人材派遣会社が欲しそうですね。ブログや掲示板に載せられたら困りますよね。本当のことが分かると困ることってありますから。
個人情報漏洩防止について、業者と教員について考えて見たいと思います。
（１）学校に出入りする業者について
学校のパソコンやサーバのメンテナンスに、いつも同じ業者、同じ担当者がきていれば、学校職員とも顔なじみになるので、よほどのことがない限り個人情報を漏洩させることはないと思います。しかし、一般競争入札の結果、人材派遣会社を利用している会社が落札したとします。見ず知らずの社員が代わる代わる学校に来る可能性があります。すると、中にはよこしまな考えを持つ人が混じる可能性があります。しかも、人材派遣会社から低賃金で働かされていて、いつ首になるか分からない状態であれば、学校にある個人情報を盗んで売ってしまおうと考える人が出てくるかも知れません。そして、そういう場合は大量に個人情報が持ち出されるのです。
よく役所の人間に、「きちんと契約書を結んでおけばそれでよいと考える人」がよく見受けられますが、そういう役人は契約が必ず守られると信じ切っているのでしょうか。それとも、個人情報が漏洩した場合、「契約は正しく結んでいたのにもかかわらず・・・・。」という言い訳ができればよいと考えているのでしょうか。それでは個人情報の漏洩という問題は解決しません。現実に個人情報の漏洩を防ぐことが目的なのならば、現実にあった適切な対策を打つべきです。
例えば、本来は、業者の身体検査（ＵＳＢメモリなどのデータを盗むことのできるメディアを所持していないか）や監視が必要となりますが、現実的に監視することのできる学校職員はいません。ささやかですが、業者が作業している間、時々顔を出して、気心が知れるようにすることが１つの手段です。そして、次のような手も有効だと思います。学校に来る業者の名前と写真を教育委員会ルートで手に入れます。そして、業者を名乗ったとき、本人かどうか確かめるのです。写真が回っているということだけで、結構抑止効果があるものです。
・正しい業者であるか写真で確認する
・サーバーパソコンへのアクセスログを強制的に残し、変更できないように暗号化する。 最低限、この２つは必要だと思います。
（２）学校職員について
サービス残業や自宅に持ち帰らなくてはいけない仕事（もちろん労働報酬は出ません）がある以上、何らかの対策が必要です。残業手当は全て出し、一切自宅には仕事を持ち帰らないということが理想です。しかし、文科省も教育委員会もそのような予算のかかることは認めようとしないでしょう。サービス残業があることを誤魔化そうとするだけです。勝手に教員がやっているから無関係だと・・。労働基準法違反の労働が行われていても見て見ぬふりをするとか。この後数年間は、この違法労働が続くと見込まれます。更に、サービス残業や持ち帰り仕事が増える様相です。この事態の下でも、個人情報を守る必要があります。そのための有効な手段があります。ＵＳＢメモリに強制的に暗号化（註１）される商品が発売されています。あとは、分かりにくいパスワード（註２）とパスワードの管理（註３）をきちんと行えばかなり安全です。もっと安全にするには、ファイル共有ソフト（註４）を使わないことです。ＵＳＢメモリと同じ場所にパスワードが記載されているとか
個人情報を守るためには、予算と人と物が必要です。それをいい加減に扱えば情報漏れが起こるのです。そして、建前だけで規制をしても、実態を無視していれば、どこかで無理がきて、個人情報は漏れてしまうものなのです。だから、現実的に有効な方法をとるべきなのです。
註１：バッファロー（BUFFALO)のＵＳＢメモリ RUF2-HSCシリーズ
データは自動的に暗号化され、パスワードを数回間違えるとロックされます。
註２：分かりにくいパスワード
一番良いのは、「乱数から生成した英数字のパスワード」だと思います。乱数では覚えることが大変です。覚えにくいパスワードは、身近にパスワードのメモを置く人が必ず出てきます。それではパスワードの意味がありません。少し怪しいですが、「わかりやすい単語を何らかの形でシフトさせて作ったパスワード（ｎｅｋｏ→ｏｆｌｐ アルファベットを１つ進めた）」もあります。他にも色々な方法があると思います。単なる単語だと、辞書を使って暗号を解読してしまうソフトがあります。その派生型で単純なパスワードの作り方では、解読ソフトがある可能性があります。しかし、パスワードに手が込んでいればいるほど、解読にパワーが必要で、多くのパソコンを長い時間使って解読しなくてはいけないことになります。
電話番号、誕生日、車のナンバーなど、すぐに予想できるパスワードはもってのほかです。
註３：パスワードの管理
パスワードのメモをＵＳＢメモリを保管している場所のすぐ近くに置く、貼るなどの行為をしない。他人がそう簡単に分からない場所に置くべきです。
註４：ファイル共有ソフト
Ｎａｐｓｔｅｒ，Ｇｎｕｔｅｌｌａ，ＢｉｔＴｏｒｒｅｎｔ，ＷｉｎＭＸ，Ｗｉｎｎｙ，Ｃａｂｏｓ，Ｓｈａｒｅなど 参照 ウィキペディア
ファイル共有ソフトの使用者の中には、使用者の中の暗黙のルールを守らない人にウィルスを送りつける人もいます。そして、そのウィルスが個人情報を流すことがあります。
Ｈ１９．７．１６
民間校長について
経団連が体の良いリストラ先として、学校を選んだのではないかという疑いをぬぐいきれません。本当に学校を変革するための校長を入れようとするならば、中小企業でも良いので、黒字を出している現役社長で、いくつかの会社を立て直したような人ならば信頼できるかも知れませんね。銀行勤めの係長止まりの人が退職（リストラ予備軍かな？）して校長になるのでは、うまくいく方が奇跡ではないでしょうか。よく考えてみましょう。何の経験もない人が、別の畑（例えば、銀行員が建築会社の社長をするとか）で業績を上げるなどと言うことは、困難に決まっているでしょう。
すなわち、「学校の校長くらいだったらできる」と言う認識が甘いのではないでしょうか。それよりも、もし、銀行出身の方なら教育委員会に入って教育予算の管理を行った方がよいのではないでしょうか。
Ｈ１９．７．８
絶対評価の魔術
絶対評価を本気でやろうと思えば、テスト問題の妥当性から検討しなくてはいけません。そして、そのテストの得点分布を明らかにする必要かあります。例えば、下図のような得点分布のテストがあったとしましょう。
Ａという分布のテストは的確なテストと言えます。人間は勉強の良くできる子もいればできない子もいます。それが自然な姿です。そのような自然な標準的な分布を正規分布といいます。だから、Ｂという分布のテストがあったとすれば、そのテストは簡単すぎるということです。能力の高い子に不利なテストです。Ｃという分布のテストがあったとすれば、そのテストは難しすぎるということです。能力の低い子が０点を取ってしまい。本当に極端に低い子と普通に低い子が、区別無く同じ０点になってしまいます。普通に低い子に不利なテストだと言えます。もう少し簡単な問題ならば、少しは点が取れたのかも知れません。Ｄという分布のテストがあったとしましょう。これは滅多にないことですが、次のようなことが考えられます。一つは低所得者層の住宅がありしつけができていない子供達がＤの分布の右側を占め、普通の子供達が左側を占めている場合。もう一つは簡単な問題と難しい問題があり、普通の問題が少ないという場合です。このテストは普通の能力を持った子に不利です。ここで、もう一つ問題になることがあります。それは、Ａ〜Ｄのテストは、一つ一つ、ＡＢＣの基準が違うはずです。もし、８０点をＡとＢの境界だとしましょう。上の図を見ると、Ｂのテストの８０点以上とＣのテストの８０点以上の人数は随分違いますよね。算数で言えば、Ｂのテストは教科書にあるような計算問題が多いテスト、Ｃのテストは文章題が多いテストになります。
だから、絶対評価をするには、まずテスト問題が妥当であるかを検討する必要があるのです。そして、ひとつひとつのテストについて、ＡＢＣの基準を違えないといけないのです。
これが、相対評価ならば、たとえ、問題が不適切な部分があるＤという分布のテストであっても、中間層に若干の不確定さを残すもののほぼ正しく評価できます。つまり、Ａ〜Ｄのどの分布であっても、まあまあ正しく評価できます。ただし、割合が決まっているため、能力の高い場合と低い場合に誤差が出やすいと思います。
テスト問題の妥当性を検討するには、２０００人程度のサンプルを取る必要があります。そして、再テストをするためには、同じ難易度の問題の違ったテストを用意する必要があります。このような理由から絶対評価のためのテスト問題を作るためには、多大な労力が必要となります。しかし、そのような問題をたくさん作る人も時間もありません。普段の学習の準備や生徒指導に追われているのです。取り敢えず、必要なテストを行って、テスト問題の妥当性まで検討している余裕はないのです。むしろ、そのようなことは教育委員会が組織とお金をかけて行うべきことではないでしょうか。全国レベルの絶対評価を行うのであれば、文科省がテスト問題を作るべきです。
さて、教育委員会が絶対評価のテスト問題を作っているところは限られています。そうでないところでは、曖昧なテスト問題で曖昧な絶対評価が行われることになりがちとなります。
保護者のクレームをかわすために、相対評価だった頃よりも甘く評価することになります。同じテストを２回やって、２回目のテストを成績にしてしまう。もっとひどければ、○○点以上になるまで同じテストを繰り返して良い成績にしてしまいます。
テストは問題が分からないからテストになるのであって、問題が分かってしまえば事情が変わってきます。本来ならば、１回目ならば、Ａは８０点以上（８０点がＡという根拠が曖昧です。絶対評価の頃８０点くらいがＡであったと言う理由くらいです。）、２回目ならＡは９０点以上という具合です。ところが、そんなことをする人なんて見たことがありません。１回目でも２回目でも８０点でＡです。
更に悪いことに、意欲までも大切に評価することになっているので、宿題をきちんとやってきたかも意欲に入り、能力が高くても宿題をさぼる子供は３段階評価の３にならない場合があるようです。世の中、能力主義（実力主義）と言っているのに何かちぐはぐな気がしませんか。個人的には、意欲は全体の１割程度の点数配分で、残りは実際のその教科での能力で判断すべきだと思います。
文科省は、実際にはできもしない絶対評価を行うように命令していきます。しかも、評価が甘くてはいけないと言うことも命令していきます。それでは、一体適切な評価が適切な評価ができているのは誰が検証するのでしょうか。もし、評価が甘いというのならば、その明確な基準を文科省が示すべきです。さらに、その基準となるべき問題集を作るべきです。お金を使いたくない文科省はやるわけがないと思いますが・・・。文科省は、それを全てさぼっています。学校任せです。県教委にでも少なくとも県教委レベルに任せれば予算も何とかしようがあるものの、それすらもしようとしません。無責任そのものです。
相対評価は、クラス毎にテスト内容が違っていても評価することができます。絶対評価ほどコストがかかりません。しかも、担任の恣意的にいい加減なことができなくなります。
ただし、学力テストで非常に優秀な子供が多いとか、学力テストで非常にできの悪い子供が多い場合は、ＡやＣの数を若干変更する必要はあるかも知れません。しかし、あくまでそれは特例として認めるべきでしょう。
全体的に見れば、絶対評価よりも相対評価の方が信頼性が高いと思います。そして、コストも安く上がると思います。是非、できもしない命令されれば、誤魔化すしか方法が無くなります。それでは、教員のモラルが低下してしまいます。できることを一生懸命行える体制が大切なのです。早く、正常な姿に戻して欲しいとものです。
Ｈ１９．７．１